結論:「勧める人」と「続けられる人」は別の話
SNSやYouTubeを見ていると、「フリーランスになって年収2倍になった」「会社員はもう時代遅れ」みたいな発信、よく目に入りますよね。
でも正直に言うと、フリーランスを勧める人が全員フリーランスで成功しているわけではないんです。
中には会社員に戻った経験がある人や、副業収入が主軸の人が「フリーランス最高!」と発信しているケースも少なくありません。
独立を検討しているなら、キラキラした成功談だけじゃなく、数字ベースの現実も見ておいたほうがいいと思います。
根拠:フリーランスの実態は「二極化」している
IPAの「IT人材白書」やフリーランス協会が毎年公表している「フリーランス実態調査」によると、フリーランスエンジニアの収入分布はかなり二極化しているとされています。
高収入層(年収800万円超)が一定数いる一方で、年収400万円未満に留まる層も相当数存在するとされています。
また、内閣官房が公表した「フリーランス実態調査結果」(2020年)では、フリーランス全体のうち**「なりたくてなったわけではない」層が一定割合を占める**という結果も出ています。
さらに、フリーランスを経験した後に会社員に戻る「出戻り」も珍しくないと言われています。doda等の転職サービスのデータでも、フリーランス経験者の正社員転職は一定数確認されているとされています。
フリーランスのリアルなコスト
独立すると、会社員時代には見えなかったコストが一気に顕在化します。
| 項目 | 会社員 | フリーランス |
|---|---|---|
| 社会保険料 | 会社が半額負担 | 全額自己負担 |
| 有給休暇 | あり | 基本なし(稼働ゼロ=収入ゼロ) |
| 案件営業 | 不要 | 自分でやるか仲介手数料が発生 |
| スキルアップ費用 | 会社が一部負担のケースも | 基本自腹 |
| 収入の安定性 | 比較的安定 | 案件次第で変動大 |
これを見ると、単純に単価が上がっても手取りが増えるとは限らないのがわかります。
反論への先回り:「でも自由度は本物でしょ?」
ここで「それでも時間の自由や働き方の柔軟性は本物じゃないか」という反論は当然あります。
これは、その通りだと思います。
フリーランス協会の調査でも、フリーランスを続けている人の満足度は「働き方の自由度」に関して高い傾向があるとされています。
特に、以下のような人にはフリーランスが本当に合っていると言われています。
- 特定領域で高い専門性と実績がある
- 営業・自己PR・契約交渉が苦でない
- 収入の波を許容できるキャッシュフロー管理ができる
- 孤独な作業環境でもモチベーションを維持できる
逆に言うと、この4つが揃っていないと「自由だけど不安定」になりやすい。
**「向いている人には最高、向いていない人には地獄」**という構造が、フリーランスの本質かもしれません。
また、近年は「週3日だけフリーランス、週2日は副業」といったハイブリッド型も増えています。完全独立か会社員かの二択で考えなくてもいい時代になってきているのは、ポジティブな変化だと思います。
補足:「勧める人の動機」も少し考えてみてほしい
フリーランスを積極的に勧めてくる発信者には、いくつかのパターンがあります。
- 本当に成功していて、同じ境遇の人を増やしたい人(善意)
- エージェントや紹介サービスの集客が目的の人(ビジネス動機)
- 自分が独立した正当性を確認したい人(心理的動機)
どのパターンが悪いとは言いません。ただ、情報の発信者がどんな立場・動機で話しているかを意識するだけで、情報の受け取り方がだいぶ変わります。
「フリーランスになるべきか」を考えるなら、SNSの成功談より、実態調査の数字と自分のスキル・資金・性格を照らし合わせることをおすすめします。
あなたが今の会社に不満を持っているなら、それはフリーランス独立で解決する問題なのか、転職で解決できる問題なのか、まず整理してみるのが先かもしれません。
「独立したい」と「今の環境を変えたい」は、似ているようで全然違う動機だと思うので。
あなたはどちらですか?