結論:「未経験歓迎」の黄金期は、もう終わりに近づいている

「未経験からエンジニアへ」というキャッチコピーを、ここ数年で本当によく見かけるようになりましたよね。

でも最近、求職者側からは「書類で落ちる」「内定が出ない」という声が増えてきています。

一方でスクール側は「卒業生の就職率98%」と謳い続けている。

このギャップ、なんか変じゃないですか?

結論から言うと、未経験エンジニアの採用バブルはすでに縮小フェーズに入っていると思っています。

求人倍率のデータとスクール数の推移を並べると、そのシグナルがくっきり見えてくるんですよね。


根拠:数字が語る「需要と供給のズレ」

求人倍率は下がり始めている

dodaが公表している「エンジニア・技術系職種の求人倍率」は、2021〜2022年にかけて大きく上昇し、概ね8〜10倍台という高水準が続いていました(doda「転職求人倍率レポート」各年版より)。

ただし、これはエンジニア全体の数字です。

未経験・第二新卒に限った求人は、2023年以降に明らかにトーンダウンしてきたと言われています。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」(2019年版)では、2030年にかけてIT人材が最大79万人不足するという試算が示されていました。

この数字がスクールビジネスの爆発的な拡大を後押しした、という背景があります。

スクール数と卒業生数が急増した

プログラミングスクールの市場規模は、2018年頃から急拡大しています。

矢野経済研究所の調査によると、プログラミング教育市場は2020年代前半に年率20〜30%超のペースで成長したと報告されています。

スクール数・コース数が増えれば、当然ながら「未経験エンジニア候補」の供給量も増えます。

時期 市場の状況
2019〜2021年 求人急増・スクール創業ラッシュ
2022〜2023年 供給(卒業生)が需要に追いつき始める
2024年〜現在 企業の採用基準が上がり、書類落ちが増加

需要が先に増えて、供給が後から追いかける。

こういう構造では、供給が追いついた瞬間にバブルが崩壊するんですよね。

企業側の「即戦力シフト」も見逃せない

IPAの「DX白書2023」では、企業がDX推進にあたって求める人材像として「高度なスキルを持つ専門人材」へのニーズが高まっていることが示されています。

「とりあえず人手が欲しい」から「スキルのある人が欲しい」へ、企業の意識が変わってきているんです。


反論への先回り:「IT人材不足は本物では?」

ここで「でも、IT人材不足は本当のことでしょ?」という反論が来ると思います。

これは正しいです。構造的なIT人材不足は本物です。

経産省の試算通り、高度なスキルを持つエンジニアは今後も不足し続けると見られています。

ただし、不足しているのは「高スキル人材」であって、「コードが少し書けるだけの未経験者」ではない、というのが重要なポイントです。

AIツールの普及も、この構造を加速させています。

GitHub Copilotをはじめとするコーディング支援AIが普及すると、「基礎的なコードを書くだけ」の作業は自動化されやすくなります。

つまり、低スキル帯の仕事から先に縮小していく可能性があるんですよね。

一方で、「スクール出身者でも実力のある人はちゃんと採用されている」という声も現場からは聞こえます。

バブルが終わるというのは、「誰でも採用される時代」が終わるということであって、「スキルがある人が採用されなくなる」という話ではありません。

その点は誤解しないようにしたいですね。


補足:では、これからどう動くべきか

この記事を読んでいる方が、どんな立場にいるかで話は変わってきます。

未経験からエンジニアを目指している方へ

スクールに通うこと自体を否定するつもりはありません。

ただ、「卒業すれば就職できる」という前提で動くのは、今の市場では少しリスクがあります。

ポートフォリオの質、GitHubの草、実際に動くものを作った経験、そういった「証拠」が以前より強く求められています。

SES企業・採用担当の方へ

未経験採用のコストが下がる一方で、育成コストは変わらないか、むしろ上がっています。

採用基準の見直しと、入社後の育成設計をセットで考えることが重要になってきていると思います。


最後に、少し問いかけさせてください。

「未経験歓迎」という言葉に、あなたはどんな価値を感じていますか?

採用する側も、される側も、その言葉の意味が変わってきていることに、そろそろ向き合う時期かもしれません。

このテーマ、あなたはどう思いますか?ぜひ感想や意見を聞かせてください。